在宅で育児をしながらフリーランスとして仕事をしてきた4年間について

去る、2015年1月31日に『CSS Nite in SHIZUOKA, VOl.5』に出演させていただいたのですが、その時のアンケートに「フリーランスとしての働き方」や「仕事と育児の両立」についてご質問をちらほらいただきました。また、友人やママ友にも同じようなことをよく聞かれるので、子持ちの私が在宅フリーランスとしてはじめて4年間、どんなふうに仕事をしてきたのか…ということについて、残しておきます。技術的なことや仕事術みたいなことは書いていません。

目次

  1. 私の現況について
  2. どうしてフリーランスを選択したの?
  3. どうやって勉強したの(してるの)?
  4. どこから仕事の依頼が来るの?
  5. 育児と仕事の両立ってどうしてるの?
  6. まとめ

私の現況について

まずは、私が今どんな環境でどんな仕事をしているのか、簡単に説明します。

家庭環境

家族構成は、夫と娘(10歳)と息子(5歳)の4人家族です。
夫の両親は遠方に住んでいて、私の両親は仕事が多忙なため、どちらにも育児で頼ることはできません。夫の仕事状況はその時によって違い、夫が家事育児にあまり参加できない時期もありましたが、今はかなり協力してもらいやすい状況なので助かっています。

仕事の内容

仕事はWeb制作全般です。
いわるゆ、企業のホームページ制作を請け負っている人です。
世間的には「デザイナー」と言うと、ビジュアル面だけを作る人だと思われることが多いですが、私の場合はディレクション、ライティング、デザイン、コーディング、CMS(WordPress)組み込み、簡単な解析やマーケティングまで、幅広い業務を行います。このほか、技術書の執筆も行なっています。

ちなみに私の住んでいる地方だと、フリーランスとかWebデザイナーと言うと、まず「??」という表情をされることがほとんどで、働き方も職種もあまり認知されていないように思います。

どうしてフリーランスを選択したの?

いろんな経歴の後に2011年からフリーランスとしてスタートしているわけですが、フリーランスになりたかったわけではありません。
『Web制作で将来的に家族を養えるくらいの収入を得る』というのが大前提で、家庭環境や地理的なことを考えたら、フリーランスしか選択肢がなかっただけです。
自信はまったくなかったけれど、私を評価して背中を押してくれたのは夫です。
結果的には良かったし、自分には向いていると思っています。

どうやって勉強したの(してるの)?

私はWeb制作をスクールで学んだ経験もなければ、制作会社に勤務したこともなく、すべて独学です。
自分でサイト運営をしたり、社内のWeb担当だった経験が生きていますが、時代の変化もあって過去の技術はあまり使い物にならず、フリーランスとしてはじめる前にあらためて基礎から勉強しなおしました。もともと好きなことなので、勉強そのものは楽しいです。もっと頭が良かったら…と思うことはあるけども。
勉強方法には主に3つのフェーズがあって、これらを繰り返している感じです。

  1. 書籍などで基礎を学ぶ
  2. 興味のある技術で自分なりのものを作ったりして試す
  3. 実務経験のなかで自分に足りないと感じたことを学ぶ

どこから仕事の依頼が来るの?

はじめは仕事のコネも実績もなく、かといって営業に出歩く勇気もなかったので、どうなることかと思いましたが、振り返ってみると下記のとおり1年1年ゆっくりと確実に、やりたい仕事がもらえるようになってきて、おかげさまで忙しくさせてもらっています。本当にありがたいことです。

1年目(2011年頃)

知人からの依頼を中心に細々とはじめました。
過去にも1度在宅ワーカーとしてWeb制作を下請けしていた時期が少しあったので、その時にお世話になっていた制作会社さんに当たってみたりしましたが、内部に技術者が増えていたり、業務内容が変わっていたり…で、残念ながら仕事はありませんでした。
また、クラウドソーシングで案件に応募してみるものの、実績が少ないこともあり、仕事にはなかなか結びつきませんでした。

2〜3年目(2012年〜2013年頃)

2012年の1月にこのブログを公開してから、ブログ経由で全国から仕事の依頼を請けることが増えました。執筆の依頼を請けることになったのも、このブログがきっかけです。

4年目(2014年頃)

そろそろ将来のことも考え、もっとクライアントに近い位置でWeb制作をしたいと思い、2013年の春頃にFRONT WORKという屋号で地元向けに活動を始めました。そして2014年に入ってから、それが実を結んで地元のクライアントや制作会社さん、広告代理店さんとつながりができ、地元企業のWeb制作に多く関われるようになりました。

5年目(2015年現在)

今は、地元企業のWeb制作の中でも直接クライアントが増えつつあり、制作だけでなく運用サポートに力を入れている最中です。

育児と仕事の両立ってどうしてるの?

在宅での育児と仕事の両立については、もっともよく聞かれることなのですが、正直なところ「やるしかないのよ。」の一言につきます。
忙しすぎてついイライラしてしまったり、うまくバランスが取れなくて落ち込んだりすることも当然あるわけですが、これは子供の成長や自分の経験によって、少しずつ確実にラクになっていきます。
何事も最初から上手くなんていかないし、子供の年齢によって1年1年大変さが違ってきます。家庭環境によっても大変さはそれぞれ違うでしょう。
そういうものだと割り切りながらも、与えられた環境の中でできることを前向きにやっていれば、『両立』なんてあまり意識することもなくなるのでは…と、私は思います。

時間の使い方について

今は上の子が小学校、下の子が幼稚園に通っているので、その間と子どもたちが夜寝てからが私の主な仕事時間です。
下の子の入園前と比べると、日中にまとまった時間が取れるのでだいぶラクですが、春休みや夏休みなどは子供がいる中で仕事をすることもあります。
家で仕事をしていると(特に私のようにパソコンに向かう仕事だと)、子供は母が仕事中であることをあまり理解できません。どんなに大変なときでも容赦なく「ママー!」「ママー!」の連発です。
このストレスを回避するために、「時間を決めてきちんと線引をする!」「子供がいるときはパソコンに向かわない!」…なんて、考えたりした時期もありましたが、まず無理ですね。少なくとも私の場合は、「こうじゃなきゃいけない」というルールを決めるほうがストレスも大きく、性格的に向いていませんでした。
だいたい、家事育児で忙しい夕方の時間帯に返事を急ぐメールや電話が来ることも珍しくないですし、風邪などでスケジュールどおりに仕事が進まないときは、どこかで時間を作って調整しなければなりません。

大事なのは、きちんとした線引よりも、その時の状況に応じた柔軟さです。「今は子供が一人遊びに夢中だから、その間だけでも仕事を進めよう」とか、「一緒に遊んでいるフリをして手書きでワイヤーフレーム書こう」とか、子供があまりにもベッタリな日は「今日は甘えたい日なんだな…」と、潔く諦めたり。そう、子供はその日その時で違うものです。

良いところもたくさんある

育児と仕事の両立っていうと、大変な面ばかりを想像してしまいがちですが、じつは良い所もたくさんあります。

集中力や意欲が高まる
時間が限られているからこそ、仕事への集中力は自然と高まります。あと、時間がないときほど「あれやりたい、これやりたい」っていう意欲が増すようにも思います。人間って、時間がありすぎてもダメじゃないですか?
規則正しい生活ができる
柔軟さが大切とは言っても、子供がいると食事・睡眠などの生活時間だけはきちんとしなければなりません。大変な反面、自分の健康にとっても良いことに違いありません。寝不足にはなりますけどね…
仕事から離れる時間を作れる
私の場合は、仕事にどっぷりハマっているとなかなか離れられない性格なので、子供に無理やり離されるくらいでちょうどいいみたいです。また、仕事で凹むことがあっても子供といると忘れられます。
育児から離れる時間を作れる
逆に育児だけをしていると育児ストレスも大きく感じますが、仕事に夢中になることで良い気分転換になります。

ほかにも、子供を通じて体験したことを仕事に活かせたり、考え方によっては良い事のほうが多いんじゃないかなって思います。

まとめ

私にとって、在宅フリーランスの最大のメリットは「子供のそばにいながら、やりがいのある好きな仕事をして収入を得られること」です。地方在住で主婦で子持ちで引きこもりでも、インターネットの恩恵によってこうした働き方ができるのは、とても幸せなことだと感じています。
ただ、ここには書ききれない苦労があったのも事実です。体を壊したら何の保証もない…と不安になることもあるし、安定がほしいと思うこともあります。仕事は楽しいけれど、寝不足は年々つらくなっていきます(苦笑)。
この先ずっとフリーランスでいるかどうかも、今はわかりません。

ということで、この記事は子育て中の女性にフリーランスになることを勧めるためではなく、単純に「私はこんなふうにしてきたよ」っていうことを書いたまでですが、何かの参考になれば幸いです。

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