2012年5月26日に、静岡で開催された『CSS Nite in SHIZUOKA, Vol.3』にて、アクセシビリティの勉強をしてきました。
これまで私は、アクセシビリティについて関心があるものの、Webを利用することが普通よりも困難な人たちが、いったいどういった状況で閲覧しているのか、なかなか想像できないこともあり、どの程度対応すべきなのかもわからないといった状況でした。
が、今回4人のスピーカーの方々が、それぞれ違った角度からWebアクセシビリティについてお話してくださったので、大変勉強になりました。
ということで、今回学んだことや、セミナーの感想などを、備忘録として記しておきます。
各セッションの感想
インフォアクシアの植木さんのセッションでは、アクセシビリティについての基本的な考え方を中心に、Web制作においてアクセシブルにする際の具体的な問題点やその対応、ツールの紹介などを、とても丁寧にわかりやすくお話されていました。
なかでも、冒頭で投げかけられた問いである「Webと他の媒体との違いは何?」が、最後ティム・バーナーズ=リー氏による下記の言葉で締められていたのが印象的でした。
The power of the Web is in its universality.
Access by everyone regardless of disability is an essential aspect.
Website Usability Info の土屋さんのセッションでは、ユーザビリティ、UX(ユーザーエクスペリエンス)やIA(インフォメーションアーキテクチャ)の側面からアクセシビリティを考え、すべてはつながっているということを再認識するとともに、理解を深めらる内容でした。
そして、土屋さんもまた植木さんと同様に、先述のティム・バーナーズ=リー氏の言葉で締め括られていました。
ユニバーサルワークスの清家さんのセッションは大変面白く、個人的にかなりツボで、笑いを堪えるのが大変でしたが、自治体サイトという具体例からあげられる問題点は、実際のところ他人事として笑っていられないな…という部分が多く、一制作者として身が引き締まる思いでした。アクセシビリティを対外的なアピールとしてとりあえずやる…のではなく、きちんと機能してこそのアクセシビリティなのだということは、肝に銘じておきたいと思います。
KDDIウェブコミュニケーションズの神森さんのセッションでは、発注者の視点からWeb制作者に向けたアクセシビリティのお話がされました。
私自身、現在は制作者という立場ですが、過去にECサイトを運営したり、企業内のWeb担当であったこともあり、とても共感の持てる内容でした。制作者の立場から考えると、アクセシビリティを実装するには、時間やコストがかかってしまうのが実状ではありますが、最低限の水準は当然のこととしてできるよう、また制作者として効率良くアクセシブルに対応する努力も必要なのだと感じました。
そして最後に、とても印象に残ったのは、「JISに準拠しているとアピールすることは、多くのお客様とコミュニケーションを取りますよ、という宣言である。」「アクセシブルでないということは、機会損失につながる。」という言葉です(正確ではありませんが、このような意味だったと思います…)。これは、制作者がクライアントにアクセシビリティの重要性を伝える際のヒントにもなりそうですね。
全体を通して…
全体を通して学んだことは、アクセシビリティ=高齢者・障碍者への配慮ということだけではなく、様々な人、様々な環境でWebを利用する人達のことを考え、それにできるかぎり配慮した設計が必要だということでした。
スピーカーの清家さんや神森さんのように、身近な大切な人のためにアクセシビリティに取り組み始めたというお話は、とても感動しましたし、Webを利用する人への愛や優しさを感じました。
私も、より多くの人に正しく情報を伝えられるWebデザイナーでありたいと思いますし、Web業界全体のアクセシビリティに対する意識が向上してくれたらいいなぁ、と思ったセミナーでした。参加できて本当に良かったです。
私自身まずは、JISX8341-3に目を通し、少しでもできることからアクセシビリティに取り組んでいきたいと思います。
最後に、今回はセミナーの感想がメインでしたので、アクセシビリティについて具体的なことは書きませんでしたが、あらためて自分で勉強をして、このブログでシェアできたらいいな、と思っています。
スタッフの皆様、スピーカーの皆様、素晴らしいセミナーをありがとうございました!